「ノック一回で、芯がなくなるまで書き続けられる」
そんな夢のような機能を搭載した、ぺんてるの最高傑作「オレンズネロ(ORENZNERO)」。
定価3,300円という価格にもかかわらず、発売当初は即完売が続いたモンスター商品です。
しかし、ネット上のレビューを見ると、称賛の声に混じって気になる意見があります。
「引っかかりがあって書きにくい」
「ガリガリする」
「高いのに期待外れだった」
実はこれ、ペンの性能が悪いのではなく、「独特な書き方のクセ」を知らないことが原因であるケースがほとんどです。
この記事では、オレンズネロを購入して後悔しないために、
「書きにくい」と言われるメカニズムと、このペンと相性が悪い人の特徴を包み隠さず解説します。
なぜ「書きにくい」と感じる?原因はオレンズシステムの構造
オレンズネロが書きにくいと言われる最大の理由は、
「芯を出さずに書く」という独自のルールにあります。
| 項目 | 一般的なシャープペン | オレンズネロ |
|---|---|---|
| 芯の状態 | パイプから出して書く | パイプから出さずに書く |
| 紙に触れるもの | 芯(黒鉛)のみ | 金属パイプの先端 |
| 書き心地 | 滑らか | 少し金属感がある |
「パイプで紙を擦りながら書く」という違和感
オレンズネロは、極細の芯(0.2mmや0.3mm)を守るために、金属のガイドパイプで芯を覆ったまま筆記します。
芯が減ると同時にパイプもスライドして短くなっていく構造なのですが、
常に「金属のパイプが紙に触れている状態」になります。
そのため、筆圧が強すぎたり、ペンを寝かせすぎたりすると、
金属が紙を引っ掻く「ガリガリ」という感触が手に伝わってきます。
これが「書きにくい」「滑らかじゃない」と言われる正体です。
「芯を出して書けばいい」は間違い!
「ガリガリするのが嫌だから、普通に芯を出して書こう」
そう思うかもしれませんが、それはオレンズネロではNG行為です。
なぜなら、自動芯出し機構が働かなくなるうえに、
0.2mmや0.3mmの極細芯はパイプの保護なしでは一瞬で折れてしまうからです。
このペンを買ってはいけない人(相性が悪い人の特徴)
オレンズネロは「人を選ぶペン」です。
3,000円をドブに捨てないために、以下の特徴に当てはまる人は購入を見送ったほうが賢明かもしれません。
| 特徴 | 合わない理由 |
|---|---|
| 筆圧がかなり強い人 | パイプが紙に食い込み、書き味が重くなる |
| ペンを極端に寝かせる人 | パイプの角が引っかかりガリガリする |
| 「ヌラヌラ」した書き味が好きな人 | 常に金属の接触感があるため不向き |
① 筆圧ゴリラ(強筆圧)の人
筆圧が強いと、クッション機能(スプリング)が過剰に反応してペン先がペコペコ沈んだり、
パイプが紙にめり込んで抵抗感が強くなります。
オレンズネロは、
「ペンの重みだけでサラサラ書く」ような、弱めの筆圧の人に向けた繊細なツールです。
② ペンを45度以下に寝かせて持つ人
パイプの先端は、紙に引っかからないよう丸く研磨されています。
しかし、ペンを極端に寝かせて書くと、研磨されていないパイプの側面や角が紙に当たり、
「キーッ」となるような不快な引っかかりを感じやすくなります。
ペンを立て気味に持つスタイルの人でないと、このペンの真価は発揮できません。
逆に「最高の相棒」になるのはどんな人?
デメリットばかり挙げましたが、
ハマる人にとっては「これ以外考えられない」という最強の武器になります。
| タイプ | 得られるメリット |
|---|---|
| 数学・計算問題を解く人 | ノックの手間ゼロで無限に計算できる |
| 細かい字を書きたい人 | 0.2mmでも絶対に折れない |
| ガジェット好き | 精巧なギミックと所有欲が満たされる |
「ノックからの解放」は革命的体験
一度書き始めたら、芯がなくなるまでノンストップ。
「芯が減ってきたな…カチカチ」という、数分に一回のノイズが消えるだけで、
勉強や作業への没入感(フロー状態)は劇的に上がります。
特に、思考を止めたくない「数学の計算」や「アイデア出し」の場面では、
3,000円払う価値のある効率をもたらしてくれます。
【結論】書きにくさは「慣れ」で解消できる?
「最初はガリガリして最悪だと思った」
そんなユーザーでも、1週間使い続けると評価が一変することがよくあります。
| 期間 | 感覚の変化 |
|---|---|
| 初日 | 金属が当たる感覚に違和感がある |
| 1週間後 | 力を抜いて書くコツ(脱力)を覚える |
| 1ヶ月後 | パイプの角が取れて書き味が育つ |
オレンズネロが書き方を「矯正」してくれる
オレンズネロを快適に使うためには、「力を抜いて、立てて書く」必要があります。
これは結果的に、
「長時間書いても手が疲れない、理想的なペンの持ち方」でもあります。
最初は違和感があっても、ペンに合わせて書き方を変えていくことで、
「いつの間にか、一番楽に書けるペンになっていた」という現象が起きます。
まとめ:オレンズネロは「使いこなす喜び」があるプロの道具
オレンズネロは、誰にでも優しい「万人受けするペン」ではありません。
しかし、その独特のクセ(金属感)さえ許容できれば、
「芯が折れない」+「ノック不要」という、シャープペンの究極形を体験できます。
「筆圧をコントロールして、道具を使いこなしたい」
そんな探究心のあるあなたなら、きっとこの「黒い塊」を最高の相棒にできるはずです。
